競売物件の購入はやばい?|やり方・メリットとデメリットを解説

お手頃な価格で購入できる競売物件。不動産投資として購入しようと悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ、「失敗しないか不安」「デメリットを知りたい」「競売物件は初心者でも購入できるのか」と言った疑問もあることでしょう。

結論から申し上げると、競売物件は投資として購入するには難易度が高く、初心者向きではありません。なぜなら、競売物件にはデメリットやリスクも多く、安易な購入は失敗へとつながるためです。

競売物件の購入にはどんなリスクやデメリットが潜んでいるのでしょうか。この記事では、競売物件のメリットとデメリットを伝えつつ、どんな人が競売物件の購入に向ているのかまで解説します。

この記事をご覧になることで、競売物件の購入で起こる投資の失敗を避けることができ、成功するために身に着けるべき素養が分かります。競売物件の購入を考えている場合は、どうぞ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 競売物件の購入で抱えるトラブルやリスク
  • 競売物件が不動産投資の対象として優れていること
  • 競売物件の購入を避けた方が良い理由
  • どんな人が競売物件の購入に向いているのか?

競売物件とは

競売物件とは
ここでは、競売物件の仕組みや一般物件との違いをお伝えします。

競売の仕組み

物件が競売にかけられるまでの仕組みを解説します。まず不動産の競売がはじまるきっかけには、たとえば以下の事例があります。

  • 住宅ローンや借入の返済が滞った人が自己破産した
  • 債務者による返済の義務違反を、債権者が裁判所に申し立てた

裁判所が自己破産や申し立てを受理したら、物件を差し押さえて、競売で不動産を売却します。そして、競売にかけられた不動産に最も高値を付けた人が購入することができます。最終的に、売却益は物件の所有者だった債務者のローンや借入の返済に充てられる仕組みです。

このように競売では一般的な購入金額が決まっているわけではなくオークション形式で価格が決まるようになっています。

一般の物件との違い

一般に流通している物件と競売物件の最も大きな違いは、適用される法律です。

一般流通の物件には『宅地建物取引業法』が適用され、競売物件には『民事執行法』が適用されます。この記事で述べられる競売物件のデメリットやリスクは、適用される法律の違いに集約されます。

つまり、一般流通の物件を購入する場合は法律で手厚く守られる一方で、競売物件を購入する場合は法律で守られることが少ないのです。そのため、物件購入で起こるトラブルは、競売物件の落札者の自己責任となります。

次に、デメリットやリスクを解説します。

 

競売物件がやばい理由|購入時のデメリットを解説

競売物件がやばい理由|購入時のデメリットを解説

思ったよりも価格が高い

実は、競売物件が安いのは一昔前のこと。現在では競売物件は、安価だとは言いがたいのです。その理由は、競売物件を購入する際の参入障壁が低くなり、競売への参加者が増え、価格が増加傾向にあるためです。

競売物件であっても、通常物件と同じ価格か、それ以上になることもざらにあります。

購入までに手間がかかる

まずは、競売物件を購入するまでの流れをお伝えします。

  1. 入札
  2. 開札
  3. 売却決定
  4. 明け渡し交渉
  5. 全額入金
  6. 所有権移転登記

競売の入札から始まり、最終的に売主から買主に所有権が移ったことを証明するのが所有権移転登記です。スムーズにいっても、物件が手に入るまでに2~3ヵ月かかります。

明け渡し交渉が難航した場合は、さらに時間がかかることも。特に、債務者である売主とのトラブルに発展すると時間がかかります。

売主との立ち退きに関するトラブル

売主とのトラブルには、売主が物件から立ち退かないことが考えられます。最終的には、強制執行になり、売主は強制的に物件から追い出されることになります。

とはいえ、強制執行までにも費用や時間が必要です。さらに、当事者として交渉しなければならないので、精神的な消耗も予想されます。

競売に参加する際に現金が必要

競売に参加する際に現金が必要

競売の入札に参加するには、売却基準価格の20%を保証金として裁判所に納付する必要があります。たとえば、1,000万円の物件を購入する場合、200万円が必要になります。

物件が購入できれば、保証金は物件の購入代金の一部に充てられ、物件が購入できなければ返還されます。フルローンは組めないため、頭金のような形で現金を準備する必要があります。

融資にスピード感が必要

 

競売で落札できた場合、代金の納付を速やかに行わないと入札前に納付した保証金が没収されてしまいます。つまり、代金の納付に間に合うようにスピード感をもって、金融機関から融資を引き出す必要があります。

現金で代金を納付する方法もありますが、それでは不動産投資の融資を使えるメリットがなくなってしまいます。現金がなくなると、今後の不動産投資にも影響するため、融資を使って物件を購入したいものです。

金融機関との信頼関係が厚い専業の不動産投資家であれば、融資までのスピードには問題ないかもしれません。しかし、不動産投資歴が浅いと融資の審査にも時間がかかり、納付までに間に合わないリスクがあります。

物件の詳細が分からない

物件を購入して所有しなければ、物件の中を見ることができません。物件の中の確認手段は、裁判所が提示する3点セットにある写真や文章、物件の外観のみです。

通常の物件だと、内検をして設備の使用状況、劣化や損壊の有無を確認することができます。対して、競売物件を購入前に内検できないのは、大きなデメリットだと言えるでしょう。

想定外の費用が必要になることも

想定外の費用が必要になることも

想定外の費用には、物件の修理費や明け渡しで売主が退去する際の引っ越し費用があります。

物件の詳細が分からない上に、物件の不具合や欠陥は自分で修理する必要があります。つまり、リフォームで思ったよりも費用がかさむ場合もあるのです。

また、売主は経済的に困窮していることが多く、引っ越し費用すら出せないことも。その場合は、物件の落札者が引っ越し費用を負担することもあります。

滞納中の費用への支払い義務

売主が滞納していた物件にかかる諸経費は、物件の落札者が支払う義務を負います。たとえば、マンションで負担することが多いのが、管理修繕費や駐車場代といった月賦でかかる費用。競売物件では、滞納されているケースも多いです。

滞納費用は裁判所の3点セットに記載がありますが、引き渡しまでの間に金額が変わり、隠れた滞納金が後に発覚することもあります。

 

競売物件のメリット

競売物件のメリット

ここでは、競売物件を購入するメリットを4点お伝えします。メリットを享受できるかどうかは、競売に参加する投資家しだいだと言えます。

安く買えることもある

現在は昔ほどは安価に競売物件を購入できなくなっていますが、安く買えるような物件もあります。たとえば、僻地にあるような廃屋は安く買える可能性があります。とはいえ、廃屋をリノベーションして入居できる状態にするには、それなりの能力や資金が必要。

つまり、廃屋をリノベーションするノウハウを持つ投資家が享受できるメリットだと言えるでしょう。

競売3点セットの情報がしっかりしている

裁判所の執行官や不動産鑑定士が作成する競売3点セットは、物件についての詳細が記載されていて、信頼できる内容でしょう。

まず、裁判所が準備する競売3点セットとは以下のものです。

  • 物件明細書
  • 評価表
  • 現況調査書

以上の3点セットを簡単に解説します。

 

物件明細書は、権利関係やその他の重要なことが記されています。評価表に記されているは、物件の基準価格や評価の根拠、不動産鑑定士目線の特記事項です。現況調査書は、主に物件の状態が記されています。写真なども掲載されていて、物件の中も写真から確認することが可能です。

競売3点セットはしっかりしていますが、読み解く力が必要です。そのため、競売3点セットを十分に利用するには、不動産売買についての知識と経験が必要だと言えます。

最上価格の提示で確実に買える

最上価格の提示で確実に買える

もっとも高い価格を提示すれば、確実に購入できるメリットがあります。とはいえ、不動産についての知識が浅いと適正価格もはっきりしないため、どれくらいの価格だと購入できるかが判断できない場合もあります。

また購入できたしても、2番手の価格をつけた競売参加者との大きな差額があると、損をした気分になり精神的なダメージを被ることも。不動産に関する熟練した目利きが必要だと言えるでしょう。

物件の賃借人が入居を続けることがある

物件の賃借人が入居を続けてくれると、物件に手を加えずともしばらくは家賃収入が見込めます。ただし、入居者が反社会勢力であったり、オーナーが変わった後にすぐに出て行ったりするリスクはあります。

以上のデメリットを考えると、競売物件の購入が、実は初心者向けではないことが分かります。次に、競売物件の購入が難しい理由をお伝えします。

競売物件の購入は難易度が高い3つの理由

競売物件の購入は難易度が高い3つの理由

ここでは、デメリットから考えられる競売物件の購入が難しい理由を3つお伝えします。ここまでの総論とも言える内容なので、ぜひご覧ください。

物件情報や相場の専門知識が必要だから

通常の不動産物件を購入する際は、相場や重要なことは専門知識のある不動産会社の人が丁寧に教えてくれます。

一方で、競売物件の場合は自分で情報収集をして、物件の相場を考え入札をする必要があります。初心者が、複雑な物件の相場を見極めるのは難しいでしょう。

さらに、競売物件には隠れた情報が潜んでいたり、思わぬ欠陥が隠れていたりします。つまり、表面には現れていない情報でも見通すことのできる経験と知識が必要なのです。

トラブルに対処する能力が必要だから

競売物件は破産手続きの換価や担保行使、遺産分割で競売にかけられています。競売物件の落札者は、競売物件に関連した事件に関わることにもなるのです。

たとえば、強制競売物件だと、退去に不満を持った入居者が引き渡してくれないといったトラブルもあり得ます。トラブルが発生した場合、落札者が入居者の立ち退きを交渉する必要があるのです。つまり、トラブルに対処できる精神力やノウハウが必要だと言えます。

手間と時間がかかるから

入札する物件を入念に調べ、面倒な書類の手続きを行い、無事に落札しても問題が山積していることもあります。たとえば、次のようなことがあります。

  • 引っ越し資金すらない入居者に引っ越し費用を工面する
  • 不動産の中に残された家具を法律に従い処分する
  • 強制執行する場合は、執行官に立会をお願いしたり、執行業者の手配をしたりする

物件を手に入れるまでの手間と、物件を手に入れたあとの手間を考えると、競売物件を購入するには忍耐力や経済的な体力が必要であることがわかります。

どんな人が競売物件の購入に向いているか?

どんな人が競売物件の購入に向いているか?

ここまでお伝えしたことから、次のような人が競売物件の購入に向いていると言えるでしょう。

  • 優良な競売物件を見分けたり、適正価格を判断したりする経験や知識を有している
  • 競売で安く販売される廃屋をリノベーションして運用するノウハウがある
  • 購入後もかかる諸々の費用を賄えるだけの貯えがある
  • 競売物件を購入する際に金融機関からスピード感を持って融資を受ける信用があ

以上から、初心者は競売物件の購入を避けた方が良いが、知識や経験が豊富な不動産投資家であれば、競売物件で成功できる可能性も高くなることが分かります。

まとめ 競売物件の購入は初心者にとってリスクが高い

競売物件には多くのデメリットやリスクがあります。さらに、現在の競売物件は好条件だと通常の物件価格と変わらないか、それ以上になることも多いです。

仮に安い競売物件を手に入れたとしても、購入後の手間や必要資金を考慮すると、割に合わないこともあります。

不動産投資をはじめて間もない場合は、競売物件の購入を避けることをおすすめします。