オーナーチェンジ物件は初心者にこそお奨め!メリットや購入のポイントを解説

不動産投資と聞くと、「初心者には向いていないのでは」「入居者の募集が大変そう」など、難しいイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。

確かに、不動産投資は高額な投資資金を必要とする上、収益の上がる物件を見極めたり、管理ルールを作ったりと知識や経験も求められるため、初心者にとっては難しく感じられるかもしれません。

そんな方にこそおすすめしたいのが、「オーナーチェンジ物件」。恐らく初めて耳にする方もおられることでしょう。

そこでこの記事では、オーナーチェンジ物件のメリットやデメリット、購入時のチェックポイントなどを詳しくご紹介します。

投資が初めての方はもちろん、不動産の運用に興味のある方も、ぜひ最後までご覧ください。

 

オーナーチェンジ物件とは

オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジ」とは、ビル一棟、アパート、分譲マンションなど賃貸物件の種類を問わず、物件のオーナーが変わることです。入居者がいる状態で販売されている物件をオーナーチェンジ物件と呼ぶのが一般的ですが、賃貸中の物件であることから、略して「賃中(ちんちゅう)」と呼ばれることもあります。

オーナーチェンジ物件では、既に物件を借りている入居者は変わらず、賃貸借契約に基づいた賃借権を維持したままで、不動産の所有権を新たなオーナーに移転させます。もちろん賃貸借契約に含まれる退去者への敷金返還義務や、物件の管理ルールなども新たなオーナーが引き継ぎます。

入居者の多い物件を選べばすぐに安定した家賃収入が見込める上、物件の状態によってはリフォームなどの必要もないため、投資用の不動産を探している方にとっては非常に魅力的な物件だと言えるのです。

購入すべき?オーナーチェンジ物件5つのメリット

購入すべき?オーナーチェンジ物件5つのメリット
オーナーチェンジ物件を利用した投資には、さまざまなメリットがあります。まずは、オーナーチェンジ物件を購入する5つのメリットをご紹介しましょう。

【メリットその1】投資初心者でも始めやすい

賃貸物件の経営には、家賃が適正かを見極めたり、入居者が集まりやすい立地かを検討したり、賃貸借契約の内容をチェックしたり、入居者の募集を行ったりと、さまざまな作業が必要です。

不動産や投資の知識も要するため、投資初心者にとってこれらの作業をこなすのは簡単なことではありません。しかし、オーナーチェンジ物件なら、既に入居者が生活しているため、これらの作業を行う必要がなく、投資が初めての方でも比較的始めやすいでしょう。

【メリットその2】利回りを予想しやすい

すべて空き室の不動産を購入した場合は、入居者の募集から行う必要があるため、入居者が決まるまでの期間は家賃収入がありません。

なかなか入居者が決まらなければ、収入を得られない期間も長引きます。しかし、収入がなくともローンの返済や物件の維持費・管理費は滞りなく支払わなければならないため、支出ばかりが増え、結果的に資金繰りに苦しむばかりになってしまう可能性があります。

オーナーチェンジ物件なら、購入した段階で既に入居者がいるため、すぐに家賃収入としてまとまったお金を得ることが可能です。いつどのくらいの収入があるのかを把握でき、長期的な利回りも予想しやすいでしょう。

【メリットその3】安く購入できることが多い

オーナーチェンジ物件の購入者の中には、気に入った部屋に自分が住む目的で購入する方もいます。しかし、前述した通り、オーナーチェンジ物件とはすでに入居者がいる物件を指すため、購入したからと言ってすぐに住める訳ではありません。

入居者には居住権があります。仮に満室の不動産を購入した場合、たとえオーナーでも自己都合で入居者を退去させることはできないのです。

このように、オーナーチェンジ物件はすぐに所有者が入居できない分、安い価格で販売されていることが多いのもメリットの一つです。

【メリットその4】運用の手間がかからない

オーナーチェンジ物件では、以前のオーナーから運用ノウハウをそのまま引き継ぐことができるため、運用の手間がかからないのも嬉しいメリットでしょう。

例えば、現在住んでいる入居者の情報はもちろん、これまでにどんな入居者が入れ替わったのか、過去のクレーム・入居者同士のトラブルの有無やその解決方法、不動産を賃貸する上で気をつけることなど、多くのノウハウを学ぶことができます。

また、設備の交換や修理の履歴も確認できるため、物件の状態や、今後の交換時期をしっかりと把握した上で投資を始めることが可能です。

【メリットその5】融資審査が通りやすい

上記で解説したように、オーナーチェンジ物件は購入後すぐに収入を得られるのが特徴です。収支計画を立てやすいことから収益面での評価が高まり、金融機関の融資審査にも通りやすくなります。

特に、入居状況や収益還元を重視する銀行であれば、入居者数が多く満室に近いほど審査に通る可能性も上がるでしょう。

 

購入前に知っておきたい!オーナーチェンジ物件4つのデメリット

オーナーチェンジ物件には魅力的なメリットがいくつもありますが、その反面、デメリットも存在します。ここでは、オーナーチェンジ物件の4つのデメリットをご紹介します。

【デメリットその1】事前に室内を確認できない

オーナーチェンジ物件は、購入時に既に入居者がいるため、事前に室内を確認することはできません。(入居者の許可を得れば内覧できます)

万が一室内の状態が悪く設備が損傷していたとしても気付くことができず、入居者の退去後に思いがけず多額の支出が発生する恐れもあります。

【デメリットその2】入居者を選べない

空き室の不動産を購入すれば、「カップルでの入居OK」「事務所利用NG」「高齢者の一人暮らしNG」などと入居の条件を設けることで、ある程度は入居者を選ぶことができます。

しかし、オーナーチェンジ物件では既に入居者が生活しているため、入居者を選ぶことはできません。もしも入居の条件を設けたくても、既に入居している人を退去させることはできないため、入居者が入れ替わるタイミングで調整していく必要があります。

【デメリットその3】現行の家賃設定が不適正な場合がある

長期間にわたって入居者の出入りがない物件の場合、入居当初の家賃設定のまま変わっていないケースがあります。

不動産は築年数が長くなるにつれて劣化するため、古い物件ほど家賃相場は下がるのが一般的です。しかし、入居歴が長い入居者は、ずっと入居時の高い家賃のまま生活している場合もあります。

高い家賃で長く入居していた人が退去して新たな入居者を募集する際は、建物や設備の経年劣化に応じて家賃を下げなければならないことも多く、家賃収入が下がってしまう恐れがあります。

ただし、オーナーチェンジ物件では、所有者が変わるタイミングで契約とは関係なく家賃や光熱費を見直し、契約内容を変更することができます。

【デメリットその4】住宅ローンを利用できない

オーナーチェンジ物件の購入時には、住宅ローンを利用することができません。住宅ローンとは、自分が住む物件を購入する際のローンです。

オーナーチェンジ物件は、不動産の所有権を引き継いで賃貸物件として誰かに貸し出すための物件であるため、住宅ローンの利用ができないのです。

金融機関からの融資を受けてオーナーチェンジ物件を購入する場合は、アパートローンのような投資ローンを利用しましょう。

不動産投資のローンについては「不動産投資ローンの借入限度額は?住宅ローンとの違いも解説」で詳しく解説しています。

オーナーチェンジ物件の購入で失敗しないためのチェックリスト

オーナーチェンジ物件の購入で失敗しないためのチェックリスト
ここからは、オーナーチェンジ物件の購入で失敗しないために、購入前にチェックしておくべきポイントをご紹介します。

 

入居状況

購入後の収益のために、入居状況は特に気になるポイントでしょう。収益のためには空き室の少ない物件を選ぶのが大切ですが、悪質なオーナーチェンジ物件の中には、満室に見せかけるためにサクラの入居者を雇っている場合があります。

万が一このようなオーナーチェンジ物件を購入してしまうと、売買契約が成立した途端に入居者が退去してしまうかもしれません。サクラの入居者を見極めるのは簡単なことではありませんが、外から見えるほとんどの部屋で同じカーテンを使用している場合はサクラの疑いがあるため、ご注意ください。

管理会社の選定

物件の管理会社は、前オーナーから不動産の所有権を引き継いだ時点で新たな管理会社に依頼することもできます。特に管理会社に問題がない場合は、引き続き同じ管理会社へ依頼してもかまいません。

ただし、物件の購入後に空き室が増えたことを想定し、より入居者の募集に強い管理会社が見つかれば、オーナーチェンジのタイミングで新たな管理会社に依頼するのも良いでしょう。

敷金の引継ぎ

前オーナーからの引き継ぎ事項で忘れてはいけないのが、敷金の引継ぎです。敷金は入居者の退去時に返却するお金なので、敷金があれば前オーナーから引き継いでおく必要があります。よって、敷金の有無や金額についてもきちんと確認しておきましょう。

保証人、保証会社

賃貸物件の契約時には、保障人や保証会社からの保証がなければ契約できないケースがほとんどです。オーナーチェンジ物件の購入時に既に入居している人も、入居時には保証人または保証会社をつけているはずですが、それらが有効かどうかも確認しておく必要があります。

特に、入居歴の長い入居者の場合、保証人が更新されないまま保証期間が過ぎてしまっているケースもあります。万が一に備えて、保証人や保証会社の確認を忘れずに行いましょう。

重要書類

オーナーチェンジ物件では、事前に室内を確認することができないため、重要書類からの情報収集は欠かせません。少しでも多くの情報を集めて物件の情報を把握するため、「重要事項調査説明書」をはじめ、設備状況の一覧表や管理記録などを必ず確認しておきましょう。

売却理由

魅力的な物件と出会えたらすぐにでも投資をしたいと思うかもしれませんが、「なぜ魅力的な物件を手放すのか?」と落ち着いて考えてみましょう。売却するのには何か理由があるはずです。

前オーナーが高齢になり運用が難しくなったり、まとまったお金が必要になったりと納得できる理由があれば問題はありませんが、正当な理由がない場合は要注意。

設備の状態が悪いことや住人同士のトラブルが絶えないなど、何か隠している事情があるかもしれません。

周辺エリア

オーナーチェンジ物件を探す際は、つい物件の築年数や設備などばかりに目が向いてしまいがち。しかし、いくら物件そのものに魅力があっても、駅から遠かったり交通の便が悪かったりと、周辺エリアの環境が良くなければ入居者は集まりません。

対に、築年数が古く部屋が狭い物件でも、駅からの距離や周辺環境次第で入居者が絶えず空き室に悩むリスクを減らすことができるでしょう。

よって、実際に近所を散策して最寄りのスーパーや駅までの道のりを歩いてみるなど、入居者の目線に立って周辺エリアの環境を調べてみることも大切です。

室内を確認したい場合はどうする?

上記でも解説したように、オーナーチェンジ物件の購入時には室内を直接確認することはできません。しかし、物件データや共有部分を見ると、室内の状態をある程度把握することが可能です。

そこで、管理会社に依頼をして室内の設備をいつ交換したのか、過去にはどのていどの修繕工事を行ったのかなどを確認してみましょう。設備の交換時期や室内の修繕時期が分かるだけでも、部屋の状況を掴むことができます。

また、実際に不動産会社とともに現地を訪れてみるのも効果的です。入居者のいる室内に入ることはできませんが、エレベーターやロビー、階段などの共用スペースを見ることで、管理状況を大まかに確認することは可能です。

共用部分の管理が行き届いていなければ、各室内のメンテナンスも不十分である可能性が高いため、避けた方が安心でしょう。

 

オーナーチェンジ物件 まとめ

今回は、オーナーチェンジ物件について、メリットやデメリット、購入時のチェックポイントなどをご紹介しました。

オーナーチェンジ物件は、比較的安い価格で販売されていることが多く、前オーナーから運用のノウハウをすべて引き継ぐことができるため、投資初心者にもおすすめです。入居者の多い物件を購入できれば新たに入居者を募集する手間も省け、すぐに家賃収入を得ることもできます。

ただし、入居者がいれば購入前に室内を確認することはできないため、重要書類にしっかりと目を通し、できるだけ室内の状態を把握しておきましょう。

今回ご紹介した内容を参考にしながら、投資が初めての方もそうでない方も、ぜひオーナーチェンジ物件の運用を検討してみてくださいね。