投資マンション1棟経営とは?経費、税金、購入ポイントを解説

不動産投資の中でも、投資マンション1棟経営はかなりの上級編になります。まず、購入には莫大な金額が掛かりますし、賃貸経営中も入居者の募集や契約を不動産会社に、管理委託を管理会社に、また修繕費用や設備のメンテナンス、賃借人のトラブル等も総戸数があれば多くなります。そこで今回は、不動産投資上級編、投資マンション1棟経営について解説します。

投資マンション1棟経営とは

投資マンション1棟経営とは

投資マンション1棟経営とは、新築若しくは中古で1棟売りのマンションを購入し、第3者に貸し出すことで賃料を収入にしていくビジネスです。立地によっては、マンションの壁面に看板の設置や携帯電話会社のアンテナ設置、若しくはマンションの1階を店舗等にすることで、収益得ることもできます。また、中古で購入の場合は、オーナーチェンジとなるので入居者はそのまま引き継ぎます。新築の場合は、入居者がいないので募集から始めます。購入時は、想定利回りや周辺需要調査をもとに決めていきます。

マンション1棟経営とアパート経営の違い

マンション1棟経営とアパート経営の違いは、初期投資額、利回り、家賃下落リスク、建物修繕リスクです。まず、初期投資額ですがマンションは鉄筋コンクリート造りで、アパートは木造・軽量鉄骨作りのプレハブ工法です。またマンションは、高層で世帯数も20戸~30戸前後になりますが、アパートは2階建ての10世帯前後が一般的です。したがって、規模感も全く違うので、建設費はマンションの方が圧倒的に高いです。したがって、マンションの方が初期投資額は高くなります。

次に、利回りですが先述の通りにマンションの建設費は高額であるので、利回りは築年数が同等であればアパートの方がよいです。次に家賃下落リスクですが、耐用年数的には鉄筋コンクリート造りのマンションの方が長く、建物が長持ちします。アパートは、木造やプレハブであるので建物が傷みやすく、耐用年数はマンションより短くなります。したがって、家賃下落リスクはアパートの方が高いです。最後に、建物修繕リスクですが、マンションは鉄筋コンクリートで高層住宅となるので、修繕費用が高くなります。アパートも修繕費は掛かりますが、規模が小さく低層であるので修繕費はマンションより安価です。

投資マンション1棟経営のメリット・デメリット

投資マンション1棟経営のメリット・デメリット

 

ここでは、投資マンション1棟経営のメリットとデメリットを解説します。

投資マンション1棟経営のメリット

投資マンション1棟経営のメリットは下記の通りです。

・家賃を高めに設定できる

・好立地に建設されることが多く、空室リスクが少ない

・長期間安定的に収益が上げられる

・節税対策になる

・建物が経年劣化しにくい

投資マンションは、一度入居者が決まると長期間居住するケースが多く、その間収益が安定します。また、築年数が浅く日当たりや眺望など付加価値的なものがあれば、家賃を高めに設定できます。更にマンションには、専用のゴミ置き場もあるのでゴミ出しが楽など、日常生活しやすいです。また、固定資産税などの節税対策や、老後の年金代わりになるなどメリットは沢山あります。

投資マンション1棟経営のデメリット

投資マンション1棟経営のデメリットは下記の通りです。

・初期投資額が莫大で、リスクが大きい

・建物のメンテナンスや修繕費が掛かる

・水害・地震など災害リスクがある

・管理委託費が掛かる

・募集を仲介会社に依頼すると、仲介手数料や宣伝費が掛かる

投資マンション1棟のデメリットは、リスクが大きいことです。まず、初期投資額は億単位の費用が掛かり莫大です。また、地震や水害などに遭うリスクもあります。更に、鉄筋コンクリートの高層住宅になるので、建物のメンテナンスや修繕に費用が掛かります。世帯数も多いので設備も一斉に劣化していきます。例えば、エアコンは10年、給湯器は15年、キッチン設備は30年が設備更新の目安になります。他にも、退去時の原状回復費用や、共用部のエレベーターや、水道などのライフラインのメンテナンスも費用が掛かります。

投資マンション1棟経営の利回りの目安

投資マンション1棟経営の利回りの目安

投資マンション1棟経営の利回りの目安は、どの程度になるのでしょうか?ここでは3地域に分けてご紹介します。

 

都心部(山手線の内側)投資マンション1棟経営の利回り

利回りは、この3地域の中では一番低くなり表面利回りの目安は、4~5%前後です。理由は、都心部は不動産価格が高額で初期投資額が莫大であるからです。しかし、賃貸需要は底固く家賃を高額に設定できます。需要と家賃相場も安定しているので、利回りは低く、初期投資の回収に時間掛かりますが、空室リスクが低く長期間安定的に経営ができます。

23区内(山手線の外側)投資マンション1棟経営の利回り

23区内の賃貸マンションの利回りは、不動産価格により変わります。世田谷区や目黒区など、一人暮らし世帯やファミリー世帯に人気の区は、利回りは都心並みです。また、23区の北部になる北区や足立区などは、不動産価格は安価に抑えられるので、利回りが5%超になるケースもあります。しかし、昨今では北千住駅や赤羽駅周辺は不動産価格が高騰しており、利回りが低下している地区もあります。

郊外 投資マンション1棟経営の利回り

東京郊外は、都心から離れるほど不動産価格は安価になり、徐々に利回りも上がります。立地によりますがマンションの利回りの平均は6%前後で推移します。しかし、郊外に行けば人口も少なくなり、都心部への通勤等に時間が掛かるため、需要は少なくなります。したがって、利回りは高いのですが同時に空室リスクも高くなります。

不動産投資の利回りについては「不動産投資の利回りについて|平均、計算方法、最低ラインは?」で詳しく説明しています。

物件選びで気を付けること

物件選びで気を付けること 

投資マンション1棟を購入する時に、気を付けることは何でしょうか?ここでは、物件選びで気を付けることを6つ紹介します。

稼働率を維持するには

賃貸住戸の稼働率を維持するには、都心に直結する路線の駅で、徒歩5分圏内が理想です。賃借人は会社員や大学生が多く、通勤や通学で毎日電車を使う人が殆どです。駅からほどよく歩ける範囲の立地であれば、賃貸需要は底堅く賃貸経営は安定します。また、駅に近ければ部屋にしにくい1階部分を店舗にすることもできます。店舗にすることで、部屋よりも家賃を高額に設定できます。駅に近い立地であれば、店舗需要も底堅いので経営的には安定します

立地

物件の立地は、先述の通りに駅に近いことが第一です。仮にバス便物件の場合は、利便性が損なわれ賃貸需要は下がり、家賃も低めに設定する必要があります。他にも、自由が丘や桜新町などの人気の街であることや、東急東横線やJR中央線沿線など、人気の路線であることも重要です。

家賃設定

家賃設定が相場並みで設定できているかも大事です。家賃が他より少しでも高いと、敬遠される可能性があります。周辺には競合となる多くの賃貸住居があるので、家賃設定は周辺をリサーチし行います。

周辺環境

物件自体の立地も重要ですが、日常生活がしやすいなど周辺環境も大事です。例えば、スーパー・ドラッグストア・コンビニ・銀行・郵便局・小中学校に近いなども、賃借人が物件選びするにあたりポイントとなります。他には周辺に繁華街など嫌悪施設がないか、もです。また、駅からのアクセスがフラット、病院が多い、大型ショッピングモールに近いなども利便性の向上に繋がります。

間取り

立地・周辺環境以外に、内装では間取りが重要です。周辺需要にマッチした間取りでないと借りてはくれません。例えば、学生が多い町で3LDKしかないとか、ファミリーが多く住む街でワンルームしかないとかです。立地が良くても借りたい間取りがなければ、投資しても失敗します。

築年数

築年数は築浅が理想で、できれば10年以内です。マンションは修繕費が一番よく掛かります。当然、築浅の方が修繕費は掛かりません。また、築浅の方が長期間減価償却できるので節税にもなります。更に、築年数が浅い方が、外観が新しく設備が新しいので人気があります。それにより家賃を高めに設定でき、空室リスクも低くなります。

投資マンション1棟の購入は中古が良いか新築が良いか?

投資マンション1棟購入は、中古と新築どちらが良いかについて解説します。

中古の良さ

・希望の立地で購入できる

・同規模であれば、購入費用が新築より安価

・利回りが高い

・既に入居者がおり、収支の見通しが立てやすい

 

中古であれば、賃貸経営したい立地で購入できる可能性が高いです。また、さまざまな物件を比較し購入できるのもメリットです。更に、購入費用は安価に抑えることができるので、利回りは高くなります。最後に、オーナーチェンジとなることが殆どなので、既に入居者がおり、一から募集しなくてよいことと、収支の見通しがたてやすいことがあります。

新築の良さ

・建物や設備が最新

・しばらく修繕しなくてよい

・家賃設定を強きにできる

・耐震性が高い

・担保価値が高く、融資を受けやすい

新築の良さは、まず建物が新しいので耐震性が高く、設備が最新であることです。建物が新しいので、しばらく修繕する必要もありません。また、新築を好む人が多いので家賃は周辺相場より、少々高めに設定できます。最後に、資金調達においては新築の方が担保価値は高いので、融資は受けやすいです。

投資マンション1棟購入時の資金調達方法

投資マンションの資金調達方法は、金融機関の不動産投資用ローンを活用します。例えば、オリックス銀行の不動産投資ローンは、比較的金利が安いです。変動金利も固定金利も2%代半ば~3%代半ばくらいで推移しています。借入期間は、1年~35年以下、年収500万以上、借入時20歳以上60歳未満、団体信用生命保険に加入できるなどの諸条件があります。

資金調達(不動産投資ローン)については「不動産投資ローンの借入限度額は?住宅ローンとの違いも解説」で詳しく説明しています。

投資マンション1棟経営で起こるさまざまなリスク

ここでは、投資マンション経営に於けるさまざまなリスクと、改善策を解説します。

空室リスク

空室リスクは、賃貸経営の根幹部分です。マンション経営は、常に満室が理想ですが入退去のタイミングで、空室になることがあります。空室リスク回避には、空室が発生しそうになったら、即不動産会社と連携し募集を始めることです。インターネットなどの媒体を駆使し、宣伝活動を行います。

家賃滞納リスク

家賃滞納リスクも、マンション経営にはつきものです。全ての世帯が、毎月きちんと賃料を支払う保証はありません。賃料が滞納されにくように、家賃の支払いは必ず銀行引き落としにするなどの対策が必要です。尚、家賃滞納分を回収できない場合は、管理会社に督促状を送ってもらえるように依頼します。

災害リスク

火災や地震や水害など、災害に遭うリスクも考えられます。近くに河川があれば水害リスクが、周辺に住宅が多ければ延焼のリスクや、地震で建物が損傷するリスクもあります。火災は火災保険、水害は火災保険の水災補償で、地震による損傷は地震保険を掛けておきます。

投資マンション1棟経営時に掛かる経費

投資マンション1棟経営時に掛かる経費

投資マンション経営時に経費として掛かるものは、主に下記になります。

・税金(固定資産税・都市計画税)

・事業税

・税理士、弁護士への報酬(不動産賃貸に関係するもの)

・消費税

・収入印紙代

・修繕費

・損害保険料

・不動産会社への管理手数料

・共用部の水道光熱費

・ローンの金利部分

・入居者募集のための広告宣伝費

・雑費(掃除用具など消耗品代など)

経費として支払った費用は、領収書や出納帳などに記載するなどしてまとめておき、確定申告時にスムーズに手続きできるように予め準備しておきます。

投資マンション1棟経営の税金

投資マンション1棟経営の税金

ここでは、投資マンション1棟経営時に掛かる税金について解説します。

購入時にかかる税金

購入時に掛かる税金は下記になります。

・印紙税

・消費税(課税事業者の場合)

・登録免許税

・不動産取得税

印紙税は、不動産売買契約時に掛かります。売買契約する金額(税抜き)により印紙税が変わります。消費税は、課税期間の前々年の基準期間の売上高が1000万円超の場合に、負担します。不動産取得税は、取得時に1回だけ掛かります。マイホームではないため、建物部分の軽減はありません。計算式は、下記になります。尚、令和3年3月31日まで土地の税率は、従来の4%から3%に軽減されています。

建物=固定資産税評価額×3%
土地=固定資産税評価額×1/2×3%

 

経営時にかかる税金

・固定資産税、都市計画税

・所得税

・住民税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日現在の所有者に通知され納税します。固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は、0.3%の自治体が殆どです。尚、マンションの場合固定資産税の評価額は1/3になる軽減措置があります。所得税・住民税は、マンション経営で得られる不動産所得に課せられます。

 

売却時にかかる税金

・所得税

・住民税

・印紙税

不動産を売却すると、売買契約書に印紙税が掛かります。また譲渡所得(儲け)があると、所得税と住民税が掛かります。この場合、5年以内の短期譲渡所得で税率は39.63%、所有期間5年超の長期譲渡所得で20.315%の税率が課せられます。

まとめ 投資マンション1棟買い

投資マンション1棟経営は、初期投資のリスクが大きい分慎重な物件選びが大事です。新築であれば、周辺相場からみた想定家賃で利回りが維持できるか、また中古であれば今後も稼働率を維持できそうな(周辺物件の稼働率、需要の見込みがあるか)立地であるか、をリサーチします。マンション経営は長期間となるので、利回りのみでなく、立地、家賃設定、間取り、周辺環境などもしっかり調査し、物件選びを進めていきましょう。

 

ワンルームマンションの投資については「ワンルームマンション投資で成功するには?選び方・メリット・デメリットを解説」で解説しています。